Dr. Candyの自由研究

いつかの未来の誰かの発想を開くために書き残しておきたいこと

熱的死による宇宙の自己回帰

 熱力学の祖といわれるクラウジウスという科学者は、宇宙のエントロピーが最大になったら、一杯の紅茶に牛乳を注いでミルクティーになってもうそれ以上何も起こらない状態にたとえられる「宇宙の熱的死」ということを予言しました。

 宇宙の全ての陽子がやがて崩壊して宇宙のどこでも同じ密度で同じ素粒子が漂う状態を「宇宙の熱的死」と考える時、その世界の中をもし自分が移動したと想像すれば、どこへ移動しても同じ密度の同じ粒子しか見られないので移動したことにはならず、どれだけ回転しても同じ密度の同じ粒子しか見られないので回転したことにもならず、移動したことにも回転したことにもならなければ時間が過ぎたことにもならないということになるはずです。つまり、宇宙のエントロピーが最大となる「宇宙の熱的死」の世界には空間も時間も一切の量も消えるということです。

 その状態は「形而上物理学」の一番はじめの「無の存在」の存在という状態に等しいということになります。だとすれば、「宇宙の熱的死」とは宇宙のはじまりへの自己回帰に等しいということになります。